油を劣化させる原因
油は劣化してくると、いやな臭いが出てきたり、色が濃くなったり、粘度が増したりして品質が低下します。
これを油の酸化といい、「光、高温、空気、水分、金属」などと接触する事で促進されます。
光
クロロフィルなどの色素物質が仲介となって酸化を促進します。
空気
空気中や容器内の酸素と接触する事で酸化が起こります。
高温
高温になる事で酸化を促進します。
また、油脂中の脂肪酸に熱重合、熱分解といった変化を与えます。
水分
水や水蒸気によっておこる油の分解の原因となります。
金属
触媒として作用して油脂の酸化を促進します。
酸化のメカニズム
植物油はほとんどが不飽和脂肪酸で構成されます。不飽和脂肪酸には炭素どうし( )が1本ずつ繋がっている部分( )と、2本ずつ繋がっている部分( )があり、2本の部分を二重結合といいます。この二重結合の部分に、酸素が結びつくことを酸化といいます。
油脂の品質基準
油脂の品質については、食品ごとに個別に定められていますが、主に酸価、過酸化物価が指標とされます。
即席めん類※1 | 食品衛生法では、酸価3以下で過酸化物価30以下 JAS規格では、油処理により乾燥したもの(フライ麺)の酸価が1.5以下 |
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揚げ菓子※1 | 酸価が3を超え、かつ過酸化物価が30を超えない(酸価のみでは5以下、過酸化物価のみでは50以下) |
弁当及び惣菜※2 | 原材料として使用する場合は、酸価1以下で過酸化物価10以下(ごま油、オリーブ油を除く) 揚げ物中の油の場合は、酸価2.5以下、発煙点170°C以上、カルボニル価50以下 |
※1加工品に含まれる油脂の分析値による規制 ※2使用する油脂の分析値による規制
参考
酸価は油脂中に含まれる遊離脂肪酸の量を示す値で、油の精製度合や加熱による劣化の程度がわかります。数値が高いほどいたんでいます。
過酸化物価は油脂中に含まれる過酸化物の量を示す値で、保存状態や自動酸化による劣化の程度がわかります。
過酸化物が分解するとケトンやアルデヒドなどカルボニル化合物となり、カルボニル価という数値で表します。数値が高いほど劣化(特に臭い)が進んでいる目安となります