世界で活躍した上村愛子さん(モーグル)、伊藤みきさん(モーグル)の競技当時の話や、心がけていた食生活についてインタビューしました。
フリースタイルスキー モーグル
30歳で迎えたバンクーバーオリンピックでは、入籍をして新たな環境の下で万全の体制で臨めたのですが、4位とメダル獲得には一歩およびませんでした。その後一度完全に競技から離れ、1年間休養。のんびりとした時間の中で引退する理由を探すも、その答えが見つからず、ソチオリンピックへの挑戦を決意しました。覚悟を持って復帰したものの、「こんなに動けないんだ」と筋量の低下に驚かされました。しかし自分が目指すのは高い目標。足元の低いハードルから少しずつ、途方もない数をこなす、質・量ともに厳しい練習を重ねていきました。
その中で、体力や疲労回復能力にも課題を感じました。たんぱく質、ビタミン、ミネラルはトレーニングに合わせて、必要量を下回らないように摂取しようと、20代の頃よりも食事量を増やしました。特に主菜は2倍にするくらいのイメージで、主食や副菜の量を保ちながらチキンソテーを2枚食べる日も。結果的に、最後の年には、身体測定で過去最高の数値が出たほど。ソチオリンピックでは4位に入り、やり切ったと思えたオリンピックになりました。
食事のバランスは一週間単位で見るようにしています。外食をしたり、体調を崩して食べられなかったり、理想通りにいかない日もありますよね。例えば自炊でも主菜や副菜で油ものが足りなければ、お味噌汁や冷奴にオリーブオイルを足して一食の中で調節することも意識していました。
疲労回復のために、トレーニング後2時間以内を目安に食事をすることをアドバイスしていました。30分以内に食べれば筋肉の合成にも効果的です。炭水化物とたんぱく質をきちんと摂り、エネルギー代謝やたんぱく質代謝に欠かせないビタミンとミネラルも摂ることで、失われたエネルギーを補い、筋肉の修復もすることが出来ます。鉄が不足しないことも大切で、レバー、肉(赤身)、魚(赤身)、貝、卵、大豆、緑黄色野菜等に含まれています。吸収率は、ヘム鉄(動物性食品に多い)>非ヘム鉄(植物性食品に多い)で、非ヘム鉄は、ビタミンCと一緒に摂ると吸収率アップ、たんぱく質は鉄の吸収を高めます。