トランス脂肪酸の健康への影響は?
現在、トランス脂肪酸が報道などで大きな話題となっているのは、その過剰摂取によって血液中のLDLコレステロール(悪玉コレステロール)濃度が増加する一方で、HDLコレステロール(善玉コレステロール)濃度が減少し、冠動脈性心疾患の発症リスクが高まると言われているからです。
国際機関や諸外国における報告例には、つぎのようなものがあります。
詳しくは、「食品安全委員会ホームページ ファクトシート『トランス脂肪酸』」をご参照ください。
<報告例>
- ・『食事、栄養及び慢性疾患予防に関するWHO/FAO合同専門家会合の報告書(2003年)』
- ・『米国食品医薬品庁(FDA)による科学的知見の検討(2003年)』
- ・『欧州食品安全機関(EFSA)栄養製品・栄養・アレルギーに関する科学パネル(NDAPanel)の意見書(2004年7月採択)』
- ・『日本人の食事摂取基準(2015年版)』では、「トランス脂肪酸に関しては、平成15年から平成19年の5年間の国民健康・栄養調査の結果を用いて摂取量を算出。冠動脈疾患に関しては、2011年のコホート研究のメタ・アナリシスで、工業由来のトランス脂肪酸の最大摂取群は最小摂取群に比較し冠動脈疾患罹患の相対危険が1.30倍増加することが示されている。しかし、喫煙、糖尿病、高血圧症など他の主要な冠動脈疾患危険因子のオッズ比が日本人で3~8倍程度であることに比べると、トランス脂肪酸の冠動脈疾患リスクはかなり小さい。」と記述
- ・(用語解説)
コホート研究:疫学研究手法のひとつで、ある集団(コホート)について一定期間他の集団と比較研究すること
メタ・アナリシス:複数の研究を統計的手法でデータを統合すること
オッズ比:ある事柄が起こる確率と起こらない確率の比
よくわかるトランス脂肪酸