トランス脂肪酸はどのようにして生成されますか?
トランス脂肪酸の生成過程は主に以下の3つがあります。
- 1.植物油等の加工に際し、水素添加の過程において生成
水素添加は不飽和脂肪酸の二重結合に水素を付加させる加工工程です。これにより、油脂の融点が高くなり、同時に酸化による劣化が起こりにくくなるため、ショートニングなどに利用する油脂の製造で行われます。水素を添加する反応の際に、副反応として、シス型からトランス型への構造変化が生じ、トランス脂肪酸が生成します。
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2.植物油等の精製に際し、脱臭の過程において生成
脱臭工程は、植物種子などから抽出した油脂から、好ましくないニオイ成分を取り除き、食用に適した風味とするために行われる工程です。脱臭の際高い熱をかけるため、一部脂肪酸のシス型からトランス型への構造変化が生じ、トランス脂肪酸が生成します。
サラダ油ってどうやって作られるの?
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3.自然界において、牛など(反すう動物)の反すう胃内でバクテリアの働きにより生成
天然ではほとんどの場合、不飽和脂肪酸はシス型で存在しますが、牛などの反すう動物の反すう胃内でバクテリアの働きによりトランス脂肪酸が生成され、これら動物の乳脂や肉にはトランス脂肪酸が存在します。
<調理の加熱でトランス脂肪酸は出来ないの?>
農林水産省の調査研究では、通常の調理における油脂の加熱(160~200℃)条件下で、同じ油を何度も繰り返し加熱したとしてもトランス脂肪酸はごく微量しか生成しなかったことが報告されています。
よくわかるトランス脂肪酸