NISSHIN OilliO "植物のチカラ"

環境目標2030

TNFD提言に基づく開示

(1)自然資本に対する考え方

  • 生物多様性に支えられた動植物、土壌、水や大気などの自然資本は、私たち人類にとって不可欠な、社会・経済活動の基盤です。しかしながら現代において、自然資本の喪失が早いペースで進み、地球環境に影響を与えていると言われています。このような状況をふまえ、自然資本の喪失は、地球温暖化とともに人類の持続可能な未来に向けた重要な社会課題であると受け止めています。また、企業が自然資本から得る様々な恩恵(生態系サービス)への「依存」や企業が事業活動により自然資本に与える「影響」を認識し、対策を取ることは、持続的な成長に向けた変革の原動力となるとともに、社会・経済全体の健全な発展につながると考えております。
  • 日清オイリオグループの事業活動は植物資源がベースであり、地球環境や自然資本の保全は、事業の持続性そのものです。主要原材料である大豆、菜種、パーム油、カカオ、オリーブ油、ごまなどは世界各地から輸入しており、特定の自然資本や産地に依存しています。また、事業活動によって、バリューチェーン上の自然資本に影響を及ぼしていると認識しています。このため、当社グループは、「日清オイリオグループ生物多様性方針」に基づき、事業活動を通じた自然資本の保全の解決に真摯に取り組むことで、社会との共有価値を創造し、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展の実現に努めていきます。
    日清オイリオグループ生物多様性方針
  • 当社グループは自然資本が事業の持続性に大きく関わるとの認識のもと、2023年度よりTNFD(*1)が公表したフレームワークを参考に、自然関連に対応したリスクと機会の分析に着手しました。今後も開示の充実化を図って参ります。
  • (*1) TNFD(Taskforce on Nature-related Financial Disclosures:自然関連財務情報開示タスクフォース)は、民間企業や金融機関が、自然に関するリスクや機会を適切に評価し、開示するための枠組みを構築する国際的な組織

(2)ガバナンス

(2-1)監督・執行体制

  • 経営上の重要課題は、取締役会にて審議し意思決定を行っています。自然関連課題を含むサステナビリティ課題に関する基本方針・戦略・施策については、取締役会が設置する委員会である経営サステナビリティ委員会による審議を経て、取締役会が承認しています。
  • 取締役会は自然関連課題の解決に対して責任を持ち、目標進捗の監督を行います。また、経営サステナビリティ委員会と連携、必要に応じて外部有識者を通じて十分な知見を獲得し、積極的に課題解決に取り組みます。
  • 経営サステナビリティ委員会は、当社グループの持続的な成長と社会の持続的な発展(サステナビリティ)を実現するための基本方針の立案を行い、また長期ビジョンで目指す姿の実現に向けた重要課題の審議を行います。(※2023年度の委員会・会議体制の見直しに伴い、従来のサステナビリティ委員会は廃止し、経営サステナビリティ委員会を設置いたしました。)
  • 2023年度の経営サステナビリティ委員会は5回開催しました。2023年度においては、同年12月に制定、公開された、「日清オイリオグループ生物多様性方針」・「日清オイリオグループ水方針」についての審議や、大豆、カカオに関する持続可能な調達アクションプランの策定・公開に向けた審議を実施しました。また、自然関連の目標を含む、CSV目標や重点領域の見直し、2030年度目標の設定についても、経営サステナビリティ委員会で継続的に審議しております。

▼図1:サステナビリティ推進体制(コーポレートガバナンス体制図より)

  • 1.経営サステナビリティ委員会は、取締役7名、専務執行役員1名で構成、議長は代表取締役社長
  • 2.常勤監査役は、経営サステナビリティ委員会およびリスクマネジメント委員会、内部統制委員会、事業戦略会議にオブザーバーとして出席
  • 3.上記以外に、常勤監査役とコーポレートスタッフ部門との定期的な情報交換・情報共有か、監査の実効性確保に向けた会議体を設置

▼表1:2023年度の経営サステナビリティ委員会の開催実績

委員会開催回数 5回
主な審議テーマ
  • CSV目標の見直しや2030年度目標の新規設定(複数回審議)
  • リスクと機会の重点領域化について(新たなリスクと機会の抽出や社会課題の再確認、重点領域の検証等)
  • TCFD提言への対応
  • 生物多様性方針・水方針の制定について
  • 持続可能な大豆調達およびカカオ調達・アクションプランの策定について

(2-2)ステークホルダーとの関わり

  • 自然資本の利用は、生物多様性への影響だけでなく人権侵害のリスクとも関わっており、当社グループのガバナンスにおいても、自然資本とつながりのあるステークホルダーへの配慮が必要とされています。当社グループは、サプライチェーンにおいて、事業が直接的または間接的に人権に影響を及ぼす可能性があることを認識しています。また、事業に関わる全ての人々の人権を尊重するために、「日清オイリオグループ人権方針」を定め、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に沿い、当社グループ全体での人権尊重の取り組みを推進しています。当社グループは、「国際人権章典」および「OECD多国籍企業行動指針」ならびに「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」に規定された人権を尊重します。また、国際的に認められた人権と各国・地域法に矛盾がある場合は、国際的な人権の原則を最大限尊重するための方法を追求していきます。
    日清オイリオグループ人権方針
  • 人権尊重の主な取り組みとして、当社グループはサプライチェーンを対象とした人権デュー・ディリジェンスの仕組み構築およびトレーサビリティの強化を進めているほか、サプライチェーン全体での取り組みが重要であるとの認識のもと、「日清オイリオグループ調達基本方針」、「日清オイリオグループサプライヤーガイドライン」を制定し、事業活動を通じた持続可能な社会の実現・発展を目指しています。
  • また、パーム油生産地において自然環境、生態系の保護や、先住民、農園で働く人たちの人権尊重が社会的課題となっているなど、原材料産地の環境と人権の保護は重要であると考えています。こうした環境・社会課題は、主要原材料ごとに異なることから、調達基本方針の確実な実現に向け、「パーム油調達方針」・「大豆調達方針」・「カカオ調達方針」を制定し、課題解決のためのアクションプランのもと、持続可能な調達の取り組みを拡大・推進していきます。
    日清オイリオグループ調達基本方針
    日清オイリオグループサプライヤーガイドライン
  • 当社グループは、外部有識者の助言を得て、サプライチェーンにおける人権のリスク分析をおこなっています。2023年度は、当社事業への影響、市場性や地域性、法規制の有無等の観点から、優先度の高い製造委託先約40社にSAQ調査を実施し、そのうちの2社へ訪問し「日清オイリオグループ人権方針」の説明や意見交換など対話を実施しました。今後もこうした取り組みを継続的に実施していきます。

▼表2:サプライヤー向けSAQ調査内容

実施時期 2024年3月
実施概要
  • セルフモニタリング形式での、質問票を用いた書面調査
  • 質問内容は、コーポレートガバナンス、人権、労働、環境、公正な企業活動、品質・安全性、情報セキュリティ、サプライチェーン、地域社会との共生など
実施結果
  • 2024年4月末日時点において約9割のサプライヤーから回答済

▼表3:サプライヤーとの対話活動内容

実施時期 2024年3月
実施概要 工場を訪問し対話形式での調査

1.当社グループの環境・人的尊重の取り組みについて説明
2.製造委託先の環境・人的尊重の取り組みについて確認
3.工場視察(労働安全衛生の観点から)

実施結果
  • 2社とも、当社が遵守を求める「日清オイリオグループサプライヤーガイドライン」に抵触する問題は発見されなかった。
  • 対話を通じて当社方針や要求内容についての認識合わせを図った。

(3)戦略

  • 当社グループは、2023年度より、TNFD開示で求められる自然関連課題(依存・影響・リスク・機会)の特定と評価に着手しました。具体的な手法として、TNFDが提唱するLEAPアプローチを参照しています。LEAPアプローチは、自然との接点、自然との依存と影響、および自然に関するリスクと機会などを評価するための統合的なアプローチとして、TNFDにより開発されたプロセスです。
  • 2023年度は、当社グループ事業の自然に対する重要な依存関係と影響の特定や、リスクと機会の抽出、関連する既存施策の整理を実施しました。今後もLEAPアプローチを通じて優先地域の特定やリスクと機会の重要性の評価等を実施し、対応策の具体化や指標の設定等を検討していく予定です。

▼図2:LEAPアプローチと2023年度の実施概要

(3ー1)当社グループの自然に対する依存関係と影響(Locate, Evaluate)

  • 2023年度は、当社グループの油脂事業および加工食品・素材事業におけるバリューチェーン上流、直接操業および下流について、自然に対する依存と影響を特定しました。当社グループのバリューチェーン上流では、原材料となる作物の生産および、パーム油等一部原材料の搾油などの加工プロセスがあり、主要原材料である大豆、菜種、パーム油、カカオ、オリーブ油、ごまの生産加工を分析対象としました。直接操業では、調達した原材料の製造加工を行っています。また下流では、顧客企業による当社加工品の最終製品への製造加工、流通および最終消費者への小売りが行われています。
  • 当社グループのバリューチェーンにおける自然との接点は下図のとおりであり、これらの地域を踏まえて依存と影響の特定を行いました。

▼図3:自然との接点

※上図中の円印は、主要原材料産地国エリアおよび製造拠点の位置を示しています

  • 自然に対する依存関係と影響の特定にあたっては、TNFDが推奨するデータベースであるENCORE(*3)を利用して、特に重要な依存関係、影響の特定のためのスクリーニングを実施しました。当社グループのバリューチェーンの上流、直接操業、下流それぞれについて、主要な工程を整理し、工程ごとに発生する一般的な依存・影響の状況を特定しました(表4、表5)。主要な工程の整理には世界産業分類基準(GICS)(*4)を参照しています。
  • (*3)ENCORE(Exploring Natural Capital Opportunities, Risks and Exposure)は、自然資本分野の国際金融業界団体(NCFA)主導で、世界自然保全モニタリングセンター(UNEP-WCMC)などが共同で開発したツールであり、TNFD v1.0の中でも、LEAPアプローチのLocate、Evaluateで活用できるツールとして紹介されています。
  • (*4)GICSは米国の格付け会社であるS&Pと機関投資家向けに指数や分析ツールを提供するMSCI(モルガン・スタンレー・キャピタル・インターナショナル)が共同開発した産業分類であり、世界の産業が11のセクター、24の産業グループ、69の産業、158の産業サブグループに分類されています。

▼表4:自然に対する依存の状況

バリューチェーン 依存している生態系サービス
供給サービス 調整サービス
水の供給 バイオマスの供給 遺伝資源 その他 昆虫や風による
受粉媒介
害虫駆除
疾病抑制
土壌侵食の抑制 自然災害の被害
緩和
安定した
降雨量
植栽等による室内空気循環 安定した
気候
廃棄物の
分解
肥沃な
土壌の
維持
大気や
水質の
浄化
上流 大豆生産
菜種生産
オリーブ
生産
ごま生産
パーム生産
カカオ生産
搾油
(オリーブ油、ごま油、パーム油)
直接操業 製造加工
下流 製造加工
輸送
販売
  • バリューチェーン上流では、食用油脂の原材料となる大豆、菜種、オリーブ、ごま、パーム、カカオの生産工程において、昆虫などによる受粉媒介、干ばつの抑制、肥沃な土壌の維持といった、作物の生産を支える生態系サービスに大きく依存していることが確認でき、さらには洪水・暴風雨などの自然災害の被害を緩和する機能や、農地における土壌侵食を抑制する機能も、自然資本から受ける重要なサービスであることが確認できました。
  • 原材料別では、カカオの生産は、受粉媒介への依存度がより高く、自然状態の変化の影響を受けやすいことが特定されました。
  • また、直接操業の製造加工工程、およびバリューチェーン下流の当社からの販売先企業における製造加工工程において、水資源へ依存していることが特定されました。

▼表5:自然に対する影響の状況

バリューチェーン 影響を及ぼす要因
気候変動 土地・淡水・海洋利用の変化 汚染・汚染除去 資源の利用・補充
GHG排出 陸上生態系の利用 淡水生態系の利用 海洋生態系の利用 土壌汚染
物質
水質汚染
物質
固定廃棄物 騒音などの
生活妨害
非GHG
大気汚染
物質
水利用 その他資源の利用
上流 大豆生産
菜種生産
オリーブ
生産
ごま生産
パーム生産
カカオ生産
搾油
(オリーブ油、ごま油、パーム油)
直接操業 製造加工
下流 製造加工
輸送
販売
  • バリューチェーン上流の原材料生産工程では、陸上生態系の利用や水質・土壌汚染が影響要因として特定されました。ENCOREでの説明や、文献などからも、原材料生産地開発のための森林伐採や、栽培における肥料や農薬の過剰使用は、陸上生態系の利用や、水質・土壌汚染として自然にマイナスの影響を与えると認識しています。
  • 原材料別では、パーム油は、原産地での搾油工程に伴うGHG排出量や廃棄物、水の利用が自然に影響を与えていることが特定されました。
  • 直接操業では、製造加工工程において、製造拠点からのGHG排出や廃棄物の発生や水の排出を通じて自然に影響を及ぼす可能性が高い結果となりました。また、バリューチェーン下流では、当社からの販売先企業における製造加工工程、流通および販売工程において、GHG排出、廃棄物の発生や水の排水を通じて自然に影響を及ぼす可能性が高いことを特定しました。
  • また、食品製造業界全体として、製造加工工程や製品から発生する食品廃棄物、容器包装に使用するプラスチックの使用と廃棄は重要な課題となっています。特にプラスチックは、廃棄・焼却時のGHG排出や、海洋に流出したプラスチック(マイクロプラスチック)が海洋の生態系に与える影響も懸念されています。当社グループもこれらを重要な課題と認識しています。

(3ー2)リスクと機会(Assess, Prepare)

  • 当社事業の自然に対する依存関係と影響のうち、特に依存・影響度合いの大きい項目に対してリスクと機会を抽出しました。また、抽出されたリスクと機会に対応する現在の取り組みを整理しました。

▼表6:自然に対する依存から発生するリスク、機会および既存の対応施策

自然資本 依存性の大きい
生態系サービス
バリューチェーン リスク 機会 関連する当社グループの
環境目標テーマ
対応(既存の施策) AR3T
上流 直接
操業
下流
動植物 昆虫や風による受粉媒介
  • 受粉媒介生物の減少
    人工授粉等のための設備投資の必要性
  • 植林などの森林保全による持続可能な原料調達
植物資源/
自然保全
  • エクアドルにおいて「カカオ風味のサステナビリティ」に取り組み、耐病性、生産性向上を推進
軽減・
復元・再生
害虫駆除・疾病抑制
  • 害虫や病害の発生
  • マレーシアでのマングローブ植林などによる自然保全活動の推進
復元・再生
洪水・暴風雨などの自然災害の被害緩和
  • 原材料生産地における洪水・暴風雨等の災害激甚化
  • 製造拠点での洪水・暴風雨等による操業能力の低下
水の供給
  • 製造拠点における水供給量の低下
  • 製造時の効率的な水使用による渇水リスク及びコストの低減
植物資源/自然保全
資源環境の構築
  • 国内製造4拠点の製造工程における用水の原単位を削減
軽減
安定した降雨量
  • 干ばつや局地的な大雨の発生
  • 乾燥耐熱型の農産物普及による収穫の安定化
土壌 農地における土壌侵食の抑制
  • 土壌侵食による原材料の生産性低下
  • 持続可能な認証を取得した商品提供による収益増加
  • 環境再生農業の実践による市場評価向上
  • 土壌に依存しない新たな油糧資源・機能素材の獲得
植物資源/自然保全
  • 持続可能な原材料(認証パーム、認証大豆)の調達推進
回避
肥沃な土壌の維持
  • 原材料生産による土地の劣化
  • 微細藻類から得られる有用物質(食用油脂等)の生産や食品用途開発・機能性評価の研究グループへの参画
変革
大気 安定した気候
  • 安定的な輸送確保の困難化
  • 緊急時にも製品供給を維持できるサプライチェーンの構築
地球温暖化の防止
  • BCP強化による緊急時の製品供給体制維持
  • 原材料および製品輸送経路の複線化
軽減

▼表7:自然に対する影響から発生するリスク、機会および既存の対応施策

影響要因 バリューチェーン リスク 機会 関連する当社グループの
環境目標テーマ
対応(既存の施策) AR3T
上流 直接
操業
下流
気候変動 GHG排出
  • GHG排出削減に関する規制強化
  • 鉱油代替需要の増加
  • 排出削減を目的とした物流の最適化を推進することによる、輸送コスト低減
  • 鉱油代替需要からの新たな販売機会の獲得
  • 新たな油糧資源・機能素材を獲得し、排出量を削減することによるGHG課題へのレジリエンス向上
地球温暖化の防止
  • サプライチェーンのGHG排出削減
    自社製造工程における再生可能エネルギーの利用促進
軽減
  • 自社製造工程における脱炭素に資する新技術(水素エネルギー等)の採用
回避
土地・淡水・
海洋利用の変化
陸上生態系の利用
  • 農地開発、森林破壊に関する規制強化
  • 規制強化による環境に配慮した原材料の需要増加
  • 消費者の嗜好変化
  • パーム油の農園までのトレーサビリティ100%を実現し、原材料の透明性を向上。販売機会の拡大
  • 認証原材料を使用した製品の販売拡大によるシェア、売上増加
  • プラントベースフードの需要の高まりによる販売機会の拡大
植物資源/
自然保全
  • 持続可能な原材料(認証パーム、認証大豆)の調達促進
回避
  • パーム小規模農家に対する認証支援の推進
回避
  • マレーシアでのマングローブの植林などによる自然保全活動の推進
復元・再生
汚染・
汚染除去
土壌・水質汚染物質
  • 原材料生産における農薬・化学肥料の使用に関する規制強化
  • 持続可能な認証を取得した商品提供による収益増加
  • 環境再生型農業の実践による市場評価向上
植物資源/
自然保全
  • 持続可能な原材料(認証パーム、認証大豆)の調達促進
回避
  • エクアドルにおいて「カカオ風味のサステナビリティ」に取り組み、耐病性、生産性向上を推進
軽減
固形廃棄物
  • プラスチック使用・廃棄に関連する規制強化
  • 製造工程・製品から発生する廃棄物の削減に向けた新技術開発の必要性
  • 消費者の嗜好変化
  • 食品包装にリサイクル材や植物由来素材を導入することによりプラスチック使用量削減
  • 使用済み油付きペットボトルリサイクルの仕組みを構築し、プラスチック使用量削減
  • 家庭用食用油の長寿命化によるフードロス削減
  • 油滓、廃白土など副産物の有効活用による新規ビジネスの創出
資源循環の構築
環境にやさしい開発の推進
  • プラスチック容器・包装の削減と資源循環の推進
軽減
  • 自社製造工程における再資源化を推進
軽減
非GHG大気
汚染物質
  • 排ガス規制の強化
  • 大気汚染物質に起因する酸性雨の影響拡大
  • 低公害車の導入による大気汚染物質排出の削減
  • 大気汚染物質の削減を目的とした物流の最適化を推進することによる、輸送コスト低減
地球温暖化の防止
  • 製品輸送時における低公害車の導入
回避
  • 配送企業に対する環境評価及びフィードバックの実施
回避
  • 製品の共同配送、モーダルシフトの推進
軽減
資源の
利用・補充
水利用
  • 地域コミュニティとの水利権に関連する対立
  • 水資源の枯渇
  • 製造時の効率的な水使用による渇水リスク及びコストの低減
資源循環の構築
  • 国内製造4拠点の製造工程における用水の原単位を削減
削減
  • 自然資本(動植物、大気、土壌、水)への依存と影響、およびそれにより発生するリスクと機会については、当社グループの環境目標のテーマとも深く関連することから、すでに指標の開示や目標の設定、および目標達成に向けた対応を順次進めています。今後はさらに当アプローチで明らかになった課題を取り入れ、環境目標を着実に実行できるよう、対応を充実させていきます。加えて、優先地域の特定やリスクと機会の重要性の評価等を実施することで、現在、未着手の分野も含め、必要な対応策を検討、拡大していく予定です。
  • また、リスクと機会への対応においては、AR3Tアクションフレームワーク(*5)に基づいた行動を起こすことが求められています。当社グループは、このフレームワークを踏まえて追加的な取り組みの検討を進めていきます。
  • (*5)SBTN(Science Based Targets Network)により提唱されているフレームワークで、自然へのマイナスの影響と自然関連リスクを削減し、自然へのプラスの影響と新たな事業機会を特定するための企業行動を優先順位付けして整理したものです。AR3Tフレームワークでは、「回避Avoid」、「軽減Reduce」、「復元・再生Restore・Regenerate」、「変革Transform」の順に優先して実行することが求められています。

■地球温暖化の防止

  • 当社グループの事業活動は植物資源をベースとしており、植物の生育に大きな影響を与える気候変動への対応は経営の重要テーマです。地球温暖化が進んだ場合、気象災害の激甚化はサプライチェーン上のリスクとなり、また中長期には原材料の生産量や品質の低下を招き、原材料の安定供給を脅かすリスクがあります。
  • 当社グループでは生産工程の効率化や再生可能エネルギーの利用推進などによるScope1,2におけるCO排出量の削減を進めており、さらには上流・下流のサプライチェーンのCO排出量の削減にも取り組んでまいります。(関連指標:GHG排出量、大気汚染物質排出量)

▼図4:脱炭素化を推進する戦略ロードマップ

サステナビリティ:6つの重点領域(地球環境)

■資源循環の構築/環境にやさしい開発の推進

【プラスチック等への対応】

  • 食品製造業界では、容器包装などに使用するプラスチックの使用・廃棄や、製造加工工程や製品から発生するフードロスが大きな課題になっていると認識しております。自然資本を保全するための法令や規制が強化されることが予想され、当社グループの事業においても対応のための追加のコスト負担や、対応できないことによる訴訟リスクがあります。
  • 当社グループでは、①プラスチック使用量の削減、②リサイクル材・植物由来素材の利用推進、③リサイクルの仕組みの整備、を柱に資源循環の推進に取り組んでいます。またフードロスに関しても、製造過程で発生する油滓、廃白土など副産物を自社製造工程内で再資源化する取り組みや、製品の長寿命化によるフードロスの削減を進めています。(関連指標:廃棄物発生量、容器包装使用量)

▼図5:当社グループのプラスチック容器・包装の削減および資源循環の推進

プラスチックへの取り組み

【水への対応】

  • 水は、当社グループにとって、原材料の生産や製造加工の工程において非常に大事な自然資本の一つです。サプライチェーンが水ストレスの高い地域に位置する場合、水供給量の低下や水資源が枯渇するリスクが高く、水調達コストが増加する可能性があります。
  • 当社グループでは、大豆とパーム油は水ストレスの高い地域から調達された原材料はないこと、また、直接操業の主要製造拠点においても、水ストレスの高い地域からの取水はないことを確認しています。その他の原材料や拠点においても、水ストレスの高い地域であるかどうかの確認を実施し、リスクに備えます。また、「日清オイリオグループ水方針」を定めており、製造加工工程における水資源の効率的活用や、サプライチェーンにおける水リスク管理を推進し、水資源の保全を図っています。(関連指標:水使用実績)

    日清オイリオグループ水方針

■植物資源/自然保全

  • 植物資源を事業のベースとする当社グループにとって、植物資源の保護と自然資本の保全は事業の持続性そのものであり、最優先のテーマと考えます。生態系サービスの基盤となる自然資本が失われることによる、作物の生産を支える受粉媒介生物の減少や、病害虫の発生、土壌侵食の進行は作物の収穫量減少のリスクにつながります。また、沿岸部の森林などが失われた場合、サプライチェーンでの洪水、暴風雨の被害が激甚化するリスクがあります。一方で、自然へのマイナスの影響を軽減させるため、森林破壊や農薬・化学肥料の使用量に関する法令や規制は今後強化されることが予想され、当社グループの事業においても法令や規制対応に関連するコストの増加や、対応できなかった場合には罰金の支払いが発生するほか、対応が遅れることによりブランドイメージが低下するリスクがあります。
  • 大豆に関しては、「大豆調達方針」に沿い、大豆生産地における環境への配慮、継続的なモニタリングによる実態把握など、サプライチェーンを通じた課題解決に取り組んでいます。RTRS (責任ある大豆に関する円卓会議)へも加盟し、今後、認証制度の活用も含め、具体的な取り組みを進めていきます。

    大豆アクションプラン

  • カカオに関しては、「カカオ風味のサステナビリティ」に取り組んでおり、子会社である大東カカオ株式会社において、エクアドルの現地固有種で特徴的な風味を持つ「アリバ種」の保全活動を行うとともに、耐病性や生産性を向上する栽培方法の改良を進めています。

    カカオアクションプラン

  • パーム油に関しては、パームの主要生産国であるマレーシアで、マングローブの植林を実施しています。沿岸域の森林群であり、動植物や土壌を保護する役割を持つマングローブの保全は、パーム油生産地でのリスク軽減に繋がると考えています。また、RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)の認証を取得するなど、持続可能な原材料の調達を実施しています。(関連指標:持続可能な原料調達割合)
  • 特にパーム油は、生産地での森林伐採や泥炭地開発、先住民の権利侵害、労働上の問題などが指摘されています。当社グループは、パーム油の原料産地の環境と人権の保護のためには農園までのトレーサビリティの把握が最重要事項であると認識し、その把握と課題解決に向けたアクションプランを実施しています。また、今後さらにリスクの評価や対策を充実させていくため、対策の優先地域を特定していくことは重要と考えています。現在の取り組み状況は次の「(コラム)持続可能な調達に向けて」で紹介します。
(コラム)持続可能な調達に向けて:パーム油

パーム油は「アブラヤシ」という植物からとれる植物油で、高温多湿の熱帯地帯で育つため、現在世界のパーム油生産の80%以上はマレーシアおよびインドネシアで行われています。パーム油はその生産性の高さなどから私たちの生活に欠かせない油脂原料であり、世界の生産量は毎年拡大しています。また、近年では食用だけでなく、バイオマス発電の燃料としての需要も増加しています。
しかし、パーム油の生産には、森林伐採や泥炭地開発といった土地改変による自然への影響、先住民の権利侵害や労働問題などの課題が指摘されています。これらの課題に対応しない場合、森林が消失し、豊かな生態系が破壊されたり、また森の周辺に暮らす先住民の人々の生活を脅かすこととなります。
したがって、持続可能なパーム油調達への要求に応えるためには、特にサプライチェーンを把握し、農園までのトレーサビリティ構築によるマネジメント強化が重要であると考えています。

【優先地域の特定に向けた取り組み】

  • 当社グループのパーム油調達ルートは、主に2つあります。1つがマレーシアにある当社グループのパーム油精製・加工会社を起点とした調達であり、2つ目は、商社を経由した調達です。なお、Aルートでは当社グループが直接取引を行っており、Bルートでは商社より、調達するパーム油の精製・加工会社、搾油工場リストの提出を受けています。

▼図6:当社グループのパーム油調達ルート

  • また、森林の減少については、”Global Forest Watch”や”Google Earth”などの衛星マッピングツールを用い、定期的にモニタリングすることで森林減少の状況を認識し、その問題を理解するのに役立てています。

▼図7:衛星マッピングツールで特定したパーム油調達国での森林減少状況

  • 上記の森林減少エリアと、当社の把握している搾油工場の拠点位置を重ね合わせることにより、当社グループが関連する搾油工場と関連する可能性のあるエリアを特定することができます。今後このような分析を進めることにより当社グループにおける優先地域を特定し、重要リスクへの対応の検討や森林減少の調査を進めてまいります。

【パーム油の持続可能性に関する当社グループの考え方と事業戦略】

  • 当社グループにおいて、パーム油は重要な原材料の一つであり、またその使用量も増加傾向にあります。パーム油に関わる環境と人権尊重の要求は急速に高まっていますが、当社グループはこれを成長の機会と捉えています。「物性(機能面)の品質」、「安全・安心の品質」、「社会的な品質」の3つの品質を高め、これらを組み合わせた製品・サービスをパーム油事業成長の原動力とし、「グローバルトップレベルの油脂ソリューション企業」へ飛躍することを目指しています。

【持続可能なパーム油調達にむけた目標とアクションプラン】

  • 当社グループはパーム油のサプライチェーンにおける環境・人権課題の解決に向け、農園、お客さま、NGOなどステークホルダーとのエンゲージメントを実施し、下記のアクションプランに則って具体的な取り組みを推進しています。

▼図8:パーム油のアクションプラン

【トレーサビリティの向上】

  • 森林伐採や労働慣行に関する潜在的なリスクを抱えているパーム油サプライチェーンの透明性を確保するため、RSPO(*6)認証油の調達に取り組んでいます。RSPOでは4つのグレードの認証があり、現在調達しているパーム油全体の50%がSG認証油(*7)となります。当社グループでは、2030年までに認証割合の100%達成、SG認証油割合50%超の確保を目指します。また、2030年までに農園までのトレーサビリティ比率100%を達成し、アクションプランの基盤とします。
  • (*6)RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議):2004年に設立された国際組織で、持続可能なパーム油が標準となるよう市場変革をするため設立
  • (*7)SG:RSPO認証方式の一つで、複数の認証農園から得られた認証油を、他のパーム油と隔離した状態で最終製品製造者に受け渡される。100%認証製品であることが保証される。

パーム油に関するこれらの取り組みの詳細は、「持続可能な調達レポート(パーム油)2024年3月」をご参照ください。
持続可能な調達レポート(パーム油)2024年3月

(4)リスク管理

(4-1)リスク管理の考え方

  • 当社グループでは、「ビジョン2030」や中期経営計画「Value Up+」で目指す姿の実現や当社が取り組む事業に対してネガティブな影響を及ぼす不確実性を「リスク」と定義し、リスクコントロールを行っています。リスク管理に対する主体的な取り組みを通じて社会的責任を果たし、安定した収益の獲得と更なる企業価値の向上を目指しています。

(4-2)リスク管理体制

  • 取締役会が設置する委員会であるリスクマネジメント委員会が、全社的なリスクを総括的に管理しています。事業に対する財務または戦略面での重要なリスクを選定し、環境・人権などのサステナビリティ課題を当社グループの重要リスクと位置付け、他の重要リスクと統合的に管理しています。

(4-3)リスクの特定と管理方法

  • リスクマネジメント委員会では、リスクを棚卸したうえで影響度合いと発生可能性をもとにマップを作成、リスクが顕在化した際の影響度の評価や優先順位付けをおこない、重要なリスクを特定しています。
  • 2023年度は14個の重要リスクを特定し、主管部門を中心に対策を立て、PDCAサイクルを回しマネジメントしています。また、リスクが顕在化した場合の緊急体制を整備し、危機対応を図っています。
  • リスクマネジメント委員会は、全社的リスクの評価や対応方針・状況などを取締役会に報告しています。

(4-4)当社グループにおける重要リスクについて

  • 以下は、リスクマネジメント委員会で特定した当社グループの重要リスク(14)を示しています。

▼図9:日清オイリオグループの重要リスク

(5)指標と目標

  • 当社グループでは自然関連の指標として、GHG排出量、大気汚染物質および化学物質排出量、水使用量、廃棄物発生量、容器包装使用量(プラスチック含む)、および持続可能な原料調達割合をサステナビリティデータ集で開示しています。これらはTNFDが開示を推奨しているコアグローバル指標にも含まれるものです。
    日清オイリオグループ サステナビリティデータ集
  • 当社グループの自然関連の目標として、「CSV目標」があり、「信頼につながるサプライチェーン」、「地球環境」を2030年に向けた重点領域として取り組んでおります。環境と人権、持続可能性の向上に取り組み、将来にわたって安定的なサプライチェーンを構築するとともに、地球環境を次世代に引き継ぐため、地球環境や資源の保護を実施します。
  • 「CSV目標」の実現に向けては「環境目標2030」を定めています。昆明・モントリオール生物多様性枠組の目標にも資するものがあり、例えば、「地球温暖化の防止」や「資源循環の構築」に関する目標は、目標7「汚染防止・削減」と整合するものです。また、「植物資源/自然保全」における「持続可能な原料の調達」は目標9「野生種の持続可能な利用」とも整合するものです。また、これらの目標においては定量目標を設定しており、その他においても定量目標を今後設定していきます。

▼表8:環境目標2030

テーマ 目標  
2021年度
実績
2022年度
実績
2023年度
実績
2030年度
目標改訂
地球温暖化の防止  サプライチェーンの温室効果ガス排出を削減
  • ・Scope1、2におけるCO2排出量を削減する
△7.3%
2016年度比
△8.6%
2016年度比
△18.6%(速報値)
2016年度比
△50%
2016年度比
  • ・Scope3のCO2排出量を削減する
  • ・排出量削減行動目標の設定
  • ・算定対象範囲を拡大(日清オイリオグループ(株)、Intercontinental Specialty Fats Sdn. Bhd.)
・CO2排出量の第三者検証を取得
  • ・2030年度定量目標設定
  • ・主要原材料(大豆・菜種)由来のCO2排出量算出方法ににつきJOPA(日本植物油協会)を介して米国・カナダの業界団体と具体的協議開始(9月)
  • ・CO2排出量の第三者検証を取得
△25%
(カテゴリー1、4から取組開始)
2020年度比
  • ・環境教育を実施し、社員一人ひとりが事業活動を通じたCO2排出量削減を推進する
 再生可能エネルギーの利用を推進
  • ・堺工場における再生可能エネルギーの使用を促進する
  • ・堺工場への太陽光発電導入を決定
  • ・堺工場への太陽光発電導入
  • ・堺工場太陽光発電によりCO2排出量△179t-CO2
100%
  • ・堺工場が主導する取り組みを他拠点へ広げ、グループ会社へと展開する
  • ・横浜磯子工場、名古屋工場への太陽光発電導入を決定
  • ・横浜磯子工場、名古屋工場への太陽光発電を導入
  • ・横浜磯子工場、名古屋工場の太陽光発電によりCO2排出量△245t-CO2
資源循環の構築  生産工程における再資源化の推進
  • ・生産工程での再資源化率
99.8% 99.8% 99.9% 99%以上
  • ・食用油生産で発生する副産物を有効活用する
  • ・堺工場へのバイオマスボイラー導入計画を策定
  • ・堺工場へのバイオマスボイラー導入
  • ・堺工場へのバイオマスボイラー稼働によりCO2排出量△351t-CO2
 生産に利用する水資源の効率的活用
  • ・生産活動における用水の原単位を削減する
△13.1%
2016年度比
△15.4%
2016年度比
△10.8%
2016年度比
△16%
2016年度比
植物資源 / 自然保全  持続可能な原料の調達を推進
・持続可能なパーム油の調達を推進する
・パーム油認証油割合を高める 54.9%(2021/1~12)
59.6%(2022/1~12)
66.9%(2023/1~12)
100%
・RSPO認証油のSG比率を高める 49.6%(2021/1~12)
51.1%(2022/1~12)
56.3%(2023/1~12)
50%
・農園までのトレーサビリティを把握する体制を構築し、100%把握を目指す パーム油 68.5%
パーム核油 30.5%
パーム油 90.9% パーム油 92.7% パーム油 100%
・大豆の持続可能性を高める取組みを推進する
  • ・ブラジル大豆の実態調査やRTRS(責任ある大豆に関する円卓会議)への加盟検討などを実施
  • ・「大豆調達方針」を制定
  • ・トレーサビリティの把握、Scope3削減等を軸としたアクションプランを策定
  • ・サプライヤー、生産者団体とのエンゲージメントを開始(JOPA等と連携、RTRS加盟を準備)
安定供給を前提とした持続可能な大豆の調達
・持続可能なカカオの調達を推進する
  • ・産地の実態や顧客ニーズの調査を実施
  • ・「カカオアクションプラン」を制定
  • ・農園トレース可能なカカオ調達、認証カカオ使用商品発売、希少豆の保存等を軸としたアクションプランを策定
安定供給を前提とした持続可能なカカオの調達
 自然保全活動の推進
  • ・植林などの推進
  • ・マレーシアでのマングローブ植林(365本 約0.14ha)を実施
  • ・2022年以降の規模拡大を計画
  • ・マレーシアにてマングローブの植林(2ha)を実施
  • ・マレーシアにてマングローブの植林(3000本 1.5ha)を実施
環境にやさしい開発の推進  プラスチック容器・包装の削減と資源循環を推進
  • ・プラスチック使用量の削減につながる商品設計や新たな容器を開発する
  • ・プラスチック問題の対応の方向性について審議
  • ・環境配慮型容器の生産体制増強
  • ・紙容器商品3品発売(キャノーラ、ハーフユース、ごま)
  • ・従来ボトル比でプラ量▲39%、再生PET樹脂30%の新容器を導入し8品上市
  • ・資源循環につながる容器・技術・サービスの開発や仕組みの実現
  • ・石油から新たに作られるプラスチック容器(ボトル・キャップ)の原単位削減:15%(2022年度比)
  • ・リサイクルしやすい容器・技術の開発と社会におけるリサイクルの仕組みを整える
  • ・堺工場において環境対応容器の充填ラインの投資を決定
  • ・川崎市と協働し、家庭から排出される食用油・調味料の使用済みプラスチック容器回収実験を実施
  • ・資源循環が可能なリサイクル材や植物由来素材への代替を推進する
  • ・ホームユース商品(1000gポリボトル)へバイオポリエチレン導入を計画
  • ・ホームユース商品(1000gポリボトル)へバイオポリエチレン導入
 植物資源を活用した、環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発
  • ・食用・工業用領域での環境ポジティブインパクト商品・アプリケーションを開発する
  • ・環境にポジティブインパクトを与える商品開発10件
  • ・潤滑油、インク、接着剤等、工業用途への新規アプローチ・提案を実施
  • ・環境にポジティブインパクトを与える商品開発15件
  • ・累計41件
  • ・フードロス削減につながる長持ちオイル、植物性工業用油脂等を開発・上市
環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスが中核となり成長を牽引

▼表9:重点領域におけるCSV目標

重点領域 CSV目標 2023年度実績 2024年度目標 2030年度目標
すべての人の健康人生100年時代を支える心身の健康に貢献 多様なライフステージにおいて健康とエネルギーを生むヘルスサイエンス商品の伸長率の向上(2019年度比)※1 133% 150% 200%
脂質栄養の知見を活かした健康課題の改善につながる商品の開発※2
  • 脂肪燃焼や低栄養・フレイル対策関連のエビデンス6件取得(MCT)
  • 少量高エネルギーの商品等計9品上市
フレイル予防やメタボ改善に関連するエビデンスの取得と商品上市(22年から累計20品以上) パーソナルな健康課題の解決(体質の改善や体調のコントロール)に関連するエビデンスの取得と商品開発
最適な脂質の摂取につながる健康情報についての提供人数の拡大(2021年度からの累計)※3 累計 8,941万人 累計 1.3億人 累計 4億人
おいしさ、美のある豊かな生活「おいしさ」と「美」の追求を通じてより豊かな生活の実現に貢献 食卓に「おいしさ」を提供し、豊かな生活に貢献するブランドへの磨き上げ 油の酸化を徹底的に抑制する特許製法「ウルトラ酸化バリア製法」を採用した「日清ヘルシークリア」を24年春発売 お客さまと共感できる価値を具現化した商品の上市・展開 企業ブランド認知率90%
食での「おいしさ」や「美」を追求する商品創出 味付けオイル新商品投入やプロモーション展開による認知拡大(認知率:25%) かけるだけで「料理をおいしくする」食用油の浸透による食卓の豊かさへの貢献(お客さまとのタッチポイントを広げ、味つけオイルの市場を育成) 食用油を基軸とした新たなカテゴリー創出による食の豊かさへの更なる貢献
美を実現する商品の伸長率の向上(2019年度比)※4 126.6% 150% 200%
地球環境地球環境を次世代に引き継ぐために未来を見据えて挑戦 Scope1,2におけるCO2排出量削減(2016年度比) 18.6%(速報値) 20% 50%
Scope3におけるCO2排出量削減(2020年度比:カテゴリー1,4から取組開始)
  • 2030年度定量目標設定
  • 主要原材料(大豆・菜種)由来のCO2排出量算出方法ににつき日本植物油協会を介して米国・カナダの業界団体と具体的協議開始(9月~)
購入した製品・サービスおよび輸配送(上流)の排出量の70%をカバーするサプライヤーから、2026年までに科学に基づく削減目標とそのコミットメントを得る 25%
スコープ3
CO2排出量削減
プラスチック容器・包装の削減及び資源循環の推進
  • 紙容器商品3品発売(キャノーラ、ハーフユース、ごま)
  • 従来ボトル比でプラ量▲39%、再生PET樹脂30%の新容器を導入し8品上市
ホームユース商品の環境対応素材導入率70%(対象:食用油およびギフト)
  • 資源循環につながる容器・技術・サービスの開発や仕組みの実現
  • 石油から新たに作られるプラスチック容器(ボトル・キャップ)の原単位削減:15%(2022年度比)
植物資源、当社技術を活用した、環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスの開発(2021年度からの累計) 累計:41件
(フードロス削減につながる長持ちオイル、植物性工業用油脂等の開発・上市)
累計:80件 環境にポジティブインパクトを与える商品・サービスが中核となり、成長を牽引
食のバリューチェーンお客さまと共に技術・商品・サービスを磨き、お客さまが創出する価値を高める 国内における食エネルギーの安定供給
(国内の総エネルギーに占める割合)
7.3% 6%以上
ユーザーサポート機能の発揮によるソリューション提供
グループのユーザーサポート件数増加率向上(2019年度比)
127% 130% 150%
- 新たな油糧資源、機能素材の獲得(藻類による代替脂質開発)に向け、産学官連携PJ等へ参画開始 -
信頼でつながるサプライチェーン誠実さを大切に、強く、しなやかなサプライチェーンを構築 人権尊重を基盤とした事業活動の展開・深化 サプライヤーガイドラインを制定し、優先度の高いサプライヤーから案内を開始、製造委託先へはSAQ(自己評価調査票))実施と現場視察に着手 サプライチェーンに対する人権デュー・ディリジェンスの本格運用 サプライチェーンにおいて人権侵害を発生させない土壌や仕組みの構築
農園までのトレーサビリティ比率向上 パーム油 92.7%
(1-12月)
パーム油:トレーサビリティ比率100%を実現・継続するための実効性のある取組みの展開 パーム油
100%
持続可能な大豆の調達推進
  • トレーサビリティの把握、Scope3削減等を軸としたアクションプランを策定
  • サプライヤー、生産者団体とのエンゲージメント開始
安定供給を前提とした持続可能な大豆の調達
持続可能なカカオの調達推進 農園トレース可能なカカオの調達、認証カカオ使用商品発売、希少豆の保存等を軸としたクションプランを策定 安定供給を前提とした持続可能なカカオの調達
持続的かつ競争力のある物流体制の構築 輸送積載効率向上に向けたF-LINE共配函数比率拡大 14% 20% 30%
トラックドライバー拘束時間削減(日清オイリオ単体の工場内) 平均88分
(24年3月時点)
平均60分 平均30分
人材マネジメント多様な人材の働きがいを高め、組織能力を向上し、イノベーションを起こします グループの理念・ビジョンへの共感 グループの経営理念・ビジョン2030への共感指数向上 グループ全体で、理念やビジョン、当社グループの企業価値に共感と誇りを持ち、主体的に行動している状態を目指す。(2024年度より調査のうえ、適切な目標値を設定する)
強固な人材力の構築 積極的な人材開発投資としての正社員一人あたり「年間教育研修費用」の維持・拡大 78,631円 78千円以上 95千円以上
多様な人材の活躍 仕事を通じた社員の「成長志向」と「成長実感」の拡大 社員が成長意欲を持ち、仕事を通じて成長を実感できている状態を目指す。(2024年度より調査のうえ、適切な目標値を設定する)
女性管理職比率向上※5 7.3% 8% 20%
イノベーションを生み出す組織風土への進化 「働きがい」を感じる社員の割合拡大 「働きがい」を持った社員が社内外で創発的なコミュニケーションや共創に取り組み、挑戦する組織風土が醸成されている状態を目指す。(2024年度より調査のうえ、適切な目標値を設定する)
【参考:単体】 65.5% 70% 80%
  • ※1 MCTオイル・加工食品、健康オイル、サプリ的オイル、ウェルネス食品等、生活習慣病やフレイル等の対策に貢献できる商品
  • ※2 低栄養、過栄養、パーソナルな健康課題等の解決に貢献できる商品
  • ※3 脂質の健康情報とは、低栄養・過栄養の改善、ボディメイクなどパーソナルな健康課題の解決に役立ち、かつ油脂の正しい理解や価値向上につながる情報発信を指す
  • ※4 化粧品原料(IQL、日清奥利友(上海)国際貿易有限公司含)、セッツ自社衛生管理事業
  • ※5 日清オイリオ単体、翌年度4月1日時点で算出

【23年度CSV目標見直しポイント】

地球環境 2021年度に脱炭素化に向けた戦略ロードマップを策定し、生産工程の無駄・ロス削減や非化石エネルギーの使用割合向上に向けた設備導入等の取り組みを着実に積み重ねています。2023年度にはCO2排出削減目標をScope1,2で50%削減に上方修正し、Scope3についても新たに定量目標(25%削減)を設定しました。今後も2050年のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みを加速させてまいります。
人材マネジメント 今年度、2030年に目指す姿を「グローバルな舞台で「おいしさ・健康・美」の新たな価値を創造し続けるエネルギッシュな精鋭集団」と定め、その実現に向けた人材マテリアリティを特定するとともに、CSV目標を全面的に見直しました。2023年度目標として設定していた「DX推進の基礎構築」、「グローバルな人材の拡充」については全社におけるデジタルリテラシー教育の100%受講やグローバル登録人材に対する教育プログラムの実施、グローバル業務への配置等を行いました。