発見!ご当地「油」紀行
第51回
鹿児島県
つけあげ
鹿児島で長年愛される「つけあげ」
九州の南端にあり、錦江湾(鹿児島湾)を挟んで薩摩半島と大隈半島が対峙する鼓形の鹿児島県。南北に長い地形は温帯気候と亜熱帯気候にまたがり、変化に富んだ豊かな自然条件を活かした多彩な作物栽培や畜産が盛んです。県庁所在地の鹿児島市は、古くから島津家による薩摩藩、72万石の城下町として栄えてきました。この鹿児島県には、郷土料理「つけあげ」があるとのこと。どのようなものなのか、現地で取材をしてきました。
旬の魚と地酒を混ぜたすり身揚げ
つけあげとは、旬の魚のすり身に鹿児島県の地酒や豆腐、砂糖や塩などの調味料を混ぜ、油で揚げたものでした。諸説ありますが、「つけあげのはじまりは、薩摩の名藩主と呼ばれた島津斉彬公が、江戸のはんぺんやかまぼこからヒントを得て、高温多湿の鹿児島県の気候に合わせて保存性を高めるために砂糖を使って加工し、揚げものにしたという説があります。また、つけあげの語源として、魚のすり身を油で揚げた琉球料理"チキアーギ”が薩摩に伝わり「つけあげ」になったという説があります」とお店の方が教えてくれました。甘さが特徴のつけあげですが、最近では食べやすいように、甘みを抑えて作るお店もあるそうです。
昔ながらのプレーンなものから、蓮根やごぼう、人参、枝豆、さつま芋といった旬の食材や、七味唐辛子、きくらげ、チーズなどを合わせたものも人気だそうです。今回は、人気商品のひとつである蓮根入りのつけあげの作り方について、実際に作るところをお店の方に見せていただきました。
料理の1品や酒の肴、子どもおやつとしても人気
揚げたてをいただきました。すり身のふわふわの食感に驚きました。冷めると、すり身がサクサクとした食感になり、歯応えがまた格別です。「料理の1品や酒の肴として、そのまま食べても良いし、ワサビ醤油やマヨネーズをつけたり、うどんや丼ぶりにのせてもおいしい。いろんな食べ方ができて飽きません」と地元の方。子どもの頃からおやつとしても馴染み深いものだそうです。スーパーや道の駅、専門店などで手軽に購入できることから、子どもから大人まで、鹿児島県で広く愛されるソウルフードとなっているようです。
(24.11.20)
- 協力
- 揚立屋・天文館店
099-219-3133