発見!ご当地「油」紀行

第49回
兵庫県(加古川市)
かつめし

さっくり揚がったカツに意外なソースがマッチ

兵庫県は南北に長く広がる県で、北は日本海、南は瀬戸内海に面し、内陸には中国山地や播磨平野が広がっています。但馬牛や三田牛などの牛肉のほか、カニやタイ、タコにアナゴなどの魚介、栗やまつたけなどが特産物として有名です。多種多様な食材に恵まれている兵庫県加古川市には、名物料理「かつめし」があるとのこと。現地に行って、取材をしてきました。

県庁所在地の神戸市は貿易都市として幕末以来栄えてきた。夜景の美しさも名高い。

加古川市にある聖徳太子創建と伝わる鶴林寺。本堂をはじめ、平安・室町時代の国宝・重要文化財が多く残されている。

牛カツ・白米・デミグラスソースが好相性!

「かつめし」とは、牛肉を叩いて平たくのばして揚げた牛カツを白米に上のせ、デミグラスソースをかけた料理でした。
市内を歩いてみると、専門店やスーパーなど至る所で売られており、100店舗以上の飲食店で食べることもできるとのこと。精肉店では「かつめし用ソース」も販売しています。
実際に作るところをお店の方に見せていただきました。

パン粉をつけた牛肉を、180度の油で3~4分揚げる。

ときおり返しつつ、きつね色になるまで揚げる。次第に香ばしい匂いがあたりに満ちる。

揚がったら軽く油を切り、食べやすい大きさに切る。

白米にのせて、デミグラスソースをたっぷりとかける。

揚げたてをいただきました。白米にのせた牛カツとデミグラスソースの予想を超えた相性の良さに驚きました。揚げ物特有の香ばしさが牛肉とデミグラスソースの一体感を醸し、白米が進みました。

「肉が薄いのは箸で食べやすくするため。うちはサーロインを使っていますが、お店によって肉の部位もいろいろです。近年では豚肉や鶏肉を使うような進化系のお店もありますよ」とお店の方。

戦後間もない頃に加古川駅前にあった食堂で考案され、広まったそうです。「牛カツと白米はお皿を分けず一緒に盛り付け、ナイフやフォークではなく、箸で手軽に食べられる点も喜ばれたのではないでしょうか」とも教えてくれました。

かつめしには必ず、ゆでキャベツが添えられる。

かつめしは加古川市の人気料理。イメージキャラクターも生まれている。

市民の方々にうかがうと「月に2~3回は食べたくなりますね」「うちの子の大好物、家でも作りますよ」といった声がよく聞かれました。周辺の地域から食べに来る方も多く、加古川市外からも広く好まれているようです。

(23.11.29)