発見!ご当地「油」紀行

第45回
新潟県(新潟市)
半身揚げ

新潟で人気のB級グルメ「半身揚げ」

新潟県は、本州のほぼ中央部、日本海沿岸に位置しています。海岸線は635キロと東西に長い県でもあります。県内には平野が多く、稲作が古くから盛んでした。日本の米どころとして知られ、栽培面積、収穫量、産出額がそれぞれ全国1位です。そのほか、枝豆やナス、イチゴや洋ナシの栽培が盛んです。

県の中東部にある新潟市は県庁所在地で、信濃川や阿賀野川の河口に位置し、港町として栄えてきました。そんな新潟市には「半身揚げ」という名物料理があるとのこと。どのようなものか、取材をしてきました。

新潟県といえば日本の代表的なお米の産地。新潟市でもコシヒカリを中心とした稲作が盛んだ。

新潟市の中心部を雄大に流れる信濃川。日本一の長さを誇る。

食欲を誘う香りで、幅広い世代に愛される

半身揚げとは、若鶏を半身に切り分けて、じっくり揚げたものでした。もともと養鶏業を営んでいた方が、昭和30年代に考案して発売したところ人気を博し、地域に定着したのだそう。下味にカレー粉を使用するのが特徴で、販売店を訪ねるとお店に入る前から食欲を誘うスパイシーな香りが漂ってきました。
「開発された当時、学校給食で人気だったのがカレーライス。ただ鶏肉を揚げるのではなく、カレー味にしたら子どもたちにも喜んでもらえるのでは…と考えたと聞いています」とお店の方。

じっくりと揚げられた若鶏から、カレーのスパイスが香り立つ。

取材したお店では、多いときには1日に約200個売れることも。

実際に作るところを見せてもらいました。
若鶏を半身に切り分け、まず塩とカレー粉で下味をつけます。「まんべんなくつけるのが難しい」とのこと。そして片栗粉をまぶし、油の中へ。手慣れた手つきで、あっという間に揚がっていきます。

最初に、半身にした鶏肉の水分を布でよくふき取ります。

全体に塩をふります。

次にカレー粉を全体にまんべんなく、たっぷりとまぶします。

そして片栗粉を全体に軽くまぶし、余分な粉をはたいて落とします。

揚げているうちに形が崩れないよう、串打ちをします。

180度で10分から15分ほどじっくりと揚げれば完成。

いろいろな部位を一度に味わえるのも魅力

揚げたての半身揚げをいただきました。皮はパリッと、中身はしっとりとした揚がり具合で、手で簡単に分けられるほど柔らかく仕上がっていました。ボリュームはありますが、くどさはないので全部食べても重く感じません。 「半身をまるまる使うので、モモ、ムネ、手羽のところなど様々な部位を一度に味わえるのも魅力です」とは地元の方。
カレーの香り、ガッツリ感、いろいろな部位を味わえる楽しさ、そして豪快な見た目と、地元に根づく理由がよく分かりました。

(21.12.21)

協力
鳥専門店 せきとり 
025-223-5934