発見!ご当地「油」紀行

第41回
茨城県(土浦市)
レンコンのおろし揚げ

JR土浦駅前。特急を使えば上野駅から約45分。土浦駅を下車して、車で3~4分ほど走るとレンコン畑が広がり始める。

土浦市内を流れる桜川。利根川水系を流れる一級河川であり、やがては霞ヶ浦に流入する。

霞ヶ浦周辺、レンコン畑からのぞむ名峰・筑波山。7~8月はハスの花が咲き、美しい景色が広がる。

歴史ある城下町には湖の恵みがいっぱい

茨城県南部に位置する土浦市は、江戸時代初期に城下町として発展した地です。旧水戸街道の宿場町としても知られ、また日本で2番目に大きい湖、霞ケ浦に面することから、水陸交通の要衝として栄えてきました。霞ヶ浦は豊かな漁場でもあり、ワカサギやシラウオ、ハゼ、エビなどが獲れます。また湖岸ではレンコン栽培が盛んに行われ、生産量はなんと日本一。いろいろな料理に使われるレンコンですが、地元では「おろし揚げ」なる料理があるそう。どんなものか確かめるため、現地で取材をしてきました。

11月~年末はレンコンのベストシーズン

聞き込みをしてみれば、おろし揚げの作り方はいたってシンプル。皮をむいたレンコンをおろして丸くまとめ、素揚げにするというもの。実家がレンコン農家だったという方にお話をうかがうことができました。

日本一のレンコン産地、土浦市。市内の生産面積は東京ドーム約107個分にもおよぶ。

レンコンはおろすと軽いねばりが出てくる。

「よく祖母が作ってくれましたねえ。あまり大きく育たなかったものや、見た目がそんなによくないものをまとめておろして、揚げるんです。」
おろしたらザルに入れて軽く水気を切るのですが、ここで水気を切り過ぎないのがポイントだそう。
「レンコンのうま味や甘さがこの汁にあるから、あくまで軽くね。」と。
聞けばレンコンの旬は寒くなってから。11月から12月にかけては糖度がのってくる時期で、レンコン本来の香りや味わいを楽しむのに最高の時期とのことです。
「土浦や牛久あたりは、お歳暮にレンコンを贈ることも多いんですよ。時には重なって、レンコンが数箱たまってしまうこともあって(笑)」と地元の方。

旬ならではのやさしいうま味と香りのよさ

おろしたレンコンに刻んだニンジンや玉ネギを加える人もいれば、ヒジキやひき肉などを加える人もあり。家庭ごとにバリエーションがあるよう。

レンコン収穫の様子。ポンプで地下水をくみ上げ、水圧で泥をのぞきながら掘っていく。収穫のピークは12月だが、土浦ではハウス栽培もあり一年中収穫できる。

揚げたては香りがよく、もっちりとして実に美味。山芋を加えているかのようななめらかさです。
今回作り方を教えてくださった方は、おろしたレンコンに小麦粉少々を加え、薄口醤油と砂糖で味つけされたものをまとめ、素揚げされていました。
食べやすくて、ついつい箸が進みます。それでいて胃にやさしい。「海苔ではさんで揚げてもおいしいですよ。」とも教えてくだいましたよ。
天ぷらやきんぴらだけではない、レンコンのほっこりとしたおいしさに出会うことができました。

(19.12.20)

協力
JA水郷つくば 営農部
連根屋 029-871-3094