発見!ご当地「油」紀行
第32回 千葉県(印西市)みそピーから揚げ
郷土食と現代の人気メニューがコンビを組んだ
琥珀色に輝く 新たな名物
千葉県北西部に位置する印西市。北部には利根川、南東部には印旛沼を擁する水に囲まれた自然豊かな町です。市の南部には印西市と周辺2市にまたがる千葉ニュータウンが広がっており、東京都心まで40kmというアクセスの良さからベッドタウンとしての顔も持っています。住環境は良好で、毎年雑誌上で全国の市を対象に発表される「住みよさランキング」では、2年連続で1位を獲得しています。そんな印西市に、「鶏のから揚げ」と市民に昔から愛されている「ピーナッツみそ」が合わさったメニューがあると聞き、早速訪ねてみました。
食のチカラで街に元気を
市民の思いが生んだアイディア料理
「みそピーから揚げ」の誕生は2010年の「いんざい“ご当地”ぐるめ選手権」。市民1500人による最終選考で「みそピーから揚げ」がグランプリに輝いたのです。このイベントは食を通じて街を元気にしたいというボランティアの手によって開催されたのですが、開催までには相当の苦労があったそうです。「市の南部ではニュータウンが開発されていく一方で、北部の旧地区では、商店街がどんどん衰退していったりと、市内でも格差が広がっているんですよ。印西には名物がなく、ご当地グルメで街を活性化できればと思ったんです。」と、このイベントを主催したみそピーから揚げ普及委員会の委員長。
千葉県は、落花生の生産量日本一。印西市でも作られており、お茶菓子やお酒のつまみ等、様々な形で市民の食卓に登場しています。その一つが、みそに砂糖やハチミツ、ピーナッツ等を入れた「ピーナッツみそ(通称みそピー)」で、主にご飯のお供として昔から親しまれてきました。市民のアイディアにより、このみそピーを大人から子供にまで人気の定番メニュー「鶏のから揚げ」にからめたのが「みそピーから揚げ」です。新たなご当地料理「みそピーから揚げ」は、現在では市内の飲食店で味わえる他、JAの直売所でもお惣菜として購入することができ、市民自慢の名物として広まっています。
濃厚なみそピーと ジューシーな鶏肉
ピーナッツの食感がアクセントに
市内のお食事処で、「みそピーから揚げ」を作るところを見せてもらいました。まずは、みそピーを作ります。フライパンを火にかけ、ピーナッツを軽く炒ります。「うちでは、香ばしさを増すのと、食感に違いを出すために、粉末にしたピーナッツも入れるんですよ」と女将さん。そこに、砂糖、水を入れて、弱火で砂糖が溶けるまで加熱し、火を止めます。みそ、はちみつを加えてよく混ぜ合わせたら、再び弱火でフツフツとさせ、みそピーの出来上がりです。
続いて、から揚げです。しょうゆ、酒、ショウガ、にんにく等で下味をつけた鶏肉に小麦粉、片栗粉をまぶして、180℃の油で揚げていきます。「みそピーの味が濃いので、から揚げの下味は薄めでも大丈夫」なのだそうです。
揚げあがったら、先ほど作ったみそピーをからめて、出来上がりです。から揚げ用のみそピーは従来のものにアレンジを加え、柔らか目に作ってありますが、それでも冷めてしまうと硬くなってしまい、からまりにくくなってしまうため、温かいうちにからめるのがポイントです。
ひと口食べると、甘じょっぱいみそピーの味の後に、お馴染みのから揚げのジューシーさがふわっと広がります。ピーナッツが良いアクセントになっていて、ついつい手が出てしまう後を引く美味しさです。
琥珀色に輝く「みそピーから揚げ」には地元を愛する市民の熱い思いが、その濃厚な味の中にしっかりと込められていました。
(13.12.24)
- 問合せは
- 印西みそピーから揚げ普及委員会 電話0476-42-2750
http://www.city.inzai.lg.jp/0000001375.html