発見!ご当地「油」紀行
第2回 徳島県 フィッシュカツ
ローカルフードはソウルフード!! フィッシュカツは徳島県民の心の郷土食
徳島空港から徳島市に向かうと、“四国三郎”の異名をもつ吉野川が迎えてくれます。
市街地には新町川、助任川も流れ街は水都の風情にあふれています。県西南部は紀伊水道に面し、昔から水産業の盛んな土地柄でした。
こうした徳島で生まれた郷土の味が“フィッシュカツ”です。
徳島県民の日常食であって、故郷を離れては懐かしく思い出される食べもの。フィッシュカツの魅力を探ってみました。
フィッシュカツの生まれは小松島市いまでは徳島を代表する庶民の味
フィッシュカツとは徳島県全域で食べられるとてもポピュラーな食べもの。近海でとれた新鮮な白身魚のすり身を手のひらサイズに広げ、パン粉をつけて揚げたフライをいいます。いわばかまぼこの材料にカレー粉などの香辛料を加え、フライにしたスパイシーな惣菜なのです。 そのルーツを探ると昭和30年ごろに徳島県小松島市で作り始められたといいます。小松島市は昔から漁業が盛んでかまぼこの製造で有名になりました。中でも「竹ちくわ」は現在でも小松島の名産となっています。蒸しあげるかまぼこ、焼くちくわ、揚げものである“天ぷら”(関東でいうさつま揚げ)は練り製品の主力です。また昭和30年ごろといえば即席ラーメンや即席カレーなどのレトルト食品が出始めたころ。かまぼこの材料を使って手軽でしゃれた食べものができないものか…。こんな思いがフィッシュカツの誕生に結びついたのです。
現在では徳島県のかまぼこメーカーおよそ30社のうち10社ほどがフィッシュカツを製造しています。生産量は年間約500トン(水穂蒲鉾調べ)。
徳島県全域のスーパーマーケットやコンビニの惣菜売り場には必ず置かれているほどです。主材料はエソや太刀魚、イトヨリ、スケトウダラなど。またスパイスもカレー粉のほかにコショウや一味を加えるなど、新しい味のチャレンジが続けられています。
県のかまぼこ店の1/3がフィッシュカツを製造この工場では1日4000枚が出荷されます
今回は徳島市内のかまぼこ工場を訪れ、製造工程を見学させていただきました。
フィッシュカツの材料はエソや太刀魚。近年ではスケトウダラを多く使います。そこへ副原料のカレー粉、辛味の唐辛子、旨みエキスなどを加えるのですが、副原料はメーカーごとに配合が異なり生み出される味は各社様々です。
その後丸型に成型。そしてパン粉付けの工程へ進みます。パン粉付けは一般的なコロッケのように小麦粉をはたいて玉子をくぐらせるのではなく、すり身に直接付けます。これが他のフライと違うところ。パン粉の付いたすり身はフライヤーに投入され200度の油で揚げられます。フライヤーをくぐって、揚げたて、アツアツのフィッシュカツが姿を現しました。1枚ずつ並べて油切りをしながら常温で1時間ほど冷まし、さらに10度以下まで二次冷却。そしてパック詰めし、シールを貼ると消費者の食卓目指して出荷されていきます。
さて食べ方は。味が付いているのでそのままでもよいのですが、オーブントースターなどで温めると衣がカリッとしてさらにおいしい。醤油やソース、マヨネーズで食べてももちろんOKです。パンに挟めばハムカツサンドならぬフィッシュカツサンド、またフィッシュカツ丼、フィッシュカツラーメンなどとバリエーションが楽しめます。徳島の人は1週間に一度は口にしないと落着かないなんて説も。またおやつとしてもよく食べるといい、これが県民に親しまれる理由です。 最近では“カツ”の名称から、合格祈願や選挙の当選祈願などの縁起物として需要が高いそうです。形も四角形やさかな形、うさぎ形などバリエーション豊かになっています。
このフィッシュカツ、ご家庭でも簡単に作ることができます。スパイシーな魚の風味が食欲をそそります。 ご当地の味を是非、ご家庭で試してみてはいかがでしょう。
レシピはこちらです。⇒ フィッシュカツ
- 問合せは
- 徳島県物産協会(阿波おどり会館内 あるでよ徳島)
電話 088-622-8231
http://www.tokushima-bussan.com/ - 価格
- 1枚80円~100円くらい
- 徳島市へのACCESS
- 電車:徳島空港から徳島市営バス徳島行きで約25分、徳島駅下車。
岡山駅からはJR瀬戸大橋線・高徳線特急うずしおで約2時間、徳島駅下車
車:徳島自動車道徳島ICから国道11号経由で約4km