発見!ご当地「油」紀行
第14回 北海道(釧路市)ザンギ
道東の中心街、釧路発祥のファストフード
石炭採掘や製紙業を支える揚げ物
北海道東部、太平洋岸に位置する釧路は、明治の頃から石炭採掘や製紙業、水産業で栄えてきた街です。街の北部には、2万6,000ヘクタールを有する日本最大の湿原である釧路湿原が広がり、湿原をゆったりと蛇行する釧路川沿いに走るノロッコ号やSLから、広大な風景が楽しめることから、多くの観光客も訪れます。
そんな釧路発祥の揚げ物が「ザンギ」。ザンギは鶏の唐揚げのことで、釧路にあるスーパーの総菜コーナーや居酒屋でも定番のメニューです。ファストフード店でもハンバーガーの具材として取り入れられるなど、全国的に有名にもなっています。今回はザンギのルーツを探ってみました。
中国語の発音をアレンジして名付けたザンギが地域に広まった
釧路の繁華街にあるザンギ発祥の店に伺いました。
創業50年で、現在は2代目。ご主人によると、ザンギという名前は、「先代が、鶏に小麦粉を付けて揚げた中華料理“炸鶏”(ザーガイやザーギーと発音)の間に、運がつくように“ン”を入れ、“ザンギ”と名付けた」のが発祥とのこと。
この店のザンギには骨ありと骨なしの2種類があり、骨ありの場合はさまざまな部位の鶏肉を使いますが、骨なしに使うのはモモ肉です。
もともとは、ザンギは骨付きのみだったそうですが、さまざまな世代で食べられるようになったこともあり、「年寄りや子供でも食べやすいものを、というお客様からのリクエストにより、骨なしも作るようにした。でも骨ありのほうがおいしいので、一度食べ比べてほしい」とご主人。現在では、食べやすさから、骨なしの注文が多いようです。
店内で食べるだけでなく、近くで飲んだ帰りにみやげとする人も多く、帰りがけに立ち寄り、「骨なし3人前!」などと、注文をしていきます。「骨なし6人前、骨あり3人前!」と、電話での注文もあり、店内は夜更けまで活気に満ちていました。
生の鶏肉をシンプルに味付け、揚げたてを特製ソースで食べる
この店のザンギの作り方は、意外とシンプルです。
まず、鶏をちょうどよいサイズに切ります。「骨ありの場合は、揚げ時間が同じになるように切らないとダメで、鶏の大きさや骨の太さ、部位によっても切り方が違う。長年の経験が必要」とご主人。家庭では、骨なしのモモ肉を使うのがいいようです。このとき、骨ありと骨なしの鶏肉は、別々のボールに入れておきます。
次に、すり下ろしたショウガと塩、コショウで下味を付けます。
冷凍と違って、生肉は水分が多いので、揚げる直前に下味を付けたほうがいいようです。次に、小麦粉を全体にまぶします。揚げたときに少し縮むので、骨なしだけ卵を入れるのがコツだそうです。ただ、入れすぎは禁物。大きなボールに卵1つ分が適量とのこと。
最後に180~190度のラードで、きつね色になるまで揚げていきます。家庭の場合はサラダ油で代用してもいいようです。
揚げ上がったら、ウスターソースに、唐辛子などを混ぜて作ったご主人特製のソースを付けていただきます。外側はサクサクで中はジューシー、ほんのりショウガの味が香り、鶏肉のおいしさが堪能できます。ソースで食べるのが主流だそうですが、この店では、ほかにも塩、コショウ、ガーリックパウダーなども用意してありました。気負わずに自分好みの味で食べるのが、ザンギの楽しみ方のようです。
この“ザンギ”、ご家庭でも簡単に作ることができます。シンプルな味付けで、揚げたてアツアツの鶏肉は、まさに格別。
ご当地の味を是非、ご家庭で試してみてはいかがでしょう。
レシピはこちらです。⇒ 鶏のからあげ ザンギ風
(10.12.17)
- 問合せは
- 釧路観光協会(釧路市観光国際交流センター内) 電話
0154-31-1993
http://ja.kushiro-lakeakan.com/ - 価格
- ザンギ1皿550~700円(骨付き・骨なしによっても異なります)
- 釧路市へのACCESS
- バス:たんちょう釧路空港から空港連絡バス「JR釧路駅行き」で約45分、JR釧路駅前下車
車:たんちょう釧路空港から国道240号・38号などで約20km