中期経営計画の2年目にあたる2022年度の連結業績は、足元の厳しい事業環境に対処しながらも、売上高5,565億65百万円(前期比+28.6%)、営業利益161億86百万円(同+38.7%)、経常利益162億42百万円(同+28.4%)、親会社株主に帰属する当期純利益111億57百万円(同+29.8%)、ROE 7.0%(同1.3ポイント増)となりました。当期は原材料価格が高騰するなかで、生産性向上とコスト削減に最大限努めるとともに、適正な販売価格の形成に取り組みました。また、国内・海外における付加価値品の販売数量の増加なども寄与し、売上高、営業利益、経常利益、ROEともに前期を上回りました。
当社では、従来から資本コストを意識した資本収益性の向上に努めてまいりましたが、株式資本コストを確実に上回る収益性を実現するべく、資本収益性に関する目標としてROEを最重要指標として位置づけ、2030年に向けた目標値を10%に変更いたしました。
また、この ROE 目標の達成に向けて ROIC の目標を設定することで、営業利益と投下資本の両面からマネジメントを実践し、どのような環境下においても資本コストに見合う資本収益率を獲得できる体質にしてまいります。
社会との共有価値創造(CSV)を通じた事業成長を掲げるビジョン 2030 の基本的な方針については変更なく、新たな経営目標のもと、持続的な企業価値向上に努めてまいります。
中期経営計画Value Upt+の3年目となる2023年度通期の連結業績予想は、売上高5,400億円、営業利益160億円、経常利益160億円、親会社株主に帰属する当期純利益115億円を見込んでおります。国内油脂事業における付加価値化・ソリューションの強化、原料コストに見合った適正な販売価格の形成・維持に努めるとともに、国内・海外におけるアフターコロナの中での需要回復に合わせた拡販に努めてまいります。また、各事業領域における価値創造の取り組みや仕掛けを進捗させ、中期経営計画Value Up+の経営目標達成に向けて着実に成果へと結びつけてまいります。
当社では、株主の皆様への利益還元を経営上の最重要課題の一つとして認識しております。これまで、中期経営計画「Value Up +」において、安定的な配当の継続を基本としつつ4年間累計の総還元性向50%を目指すことを方針としてまいりましたが、今年度より、安定配当を継続することを前提に、2024年度に向けて連結配当性向40%を目安に株主の皆様に還元させていただくことにいたしました。「Value Up +」においてはROE 8%を経営目標に掲げ、積極的な投資による成長と資本収益率の向上に取り組んでおります。また上記の通り、2030年度に向けては、ROEの目標を10%に変更しております。この利益成長を伴う資本収益率の向上の成果を株主の皆様に確実に還元させていただくため、連結配当性向を重要指標とすることにいたしました。この方針に基づき、当期の配当については、中間決算は期初の予定通り1株当たり45円としましたが、期末配当については30円増配し、1株当たり75円と変更いたしました。次期の配当については、年間で当期と同額の1株当たり120円(中間、期末配当金、各60円)を予定しております。
株主の皆様におかれましては、引き続き一層のご支援を賜りますようお願い申し上げます。
私たちは、“植物のチカラ®”と“油脂をさらに究めた強み”で、
食の新たな機能を生み出すプラットフォームの役割を担います。
そして多様な価値を創造し、“生きるエネルギー”をすべての人に
お届けする企業グループになります。
私たちのコアコンピタンスは「油脂」です。油脂を究め続けることで、共創による油脂ソリューションを創出し続けます。
油脂の価値は、人が生きるための根源的なエネルギーであり、また、美味しい食事で人を笑顔に、栄養機能で人を健康に、美を演出し活力を与える無限のエネルギーでもあります。
6つの重点領域を通じて私たちが提供する油脂の多様な価値、そして油脂と相乗効果を発揮する素材・技術・事業から生み出されるエネルギーを”生きるエネルギー”と位置付けました。
私たちが目指すのは、この”生きるエネルギー”を一人でも多くの人にお届けする、そのような企業グループになることです。
当社グループは、「ビジョン2030」で目指す姿の実現に向けた最初の4年間の中期経営計画「Value Up +」で、「もっとお客さまの近くで、多様な価値を創造し続ける企業グループ」への変革を掲げています。
当社はMCTの主成分「中鎖脂肪酸」について、50年以上の研究開発を進めてきており、脂質の代謝を高めるなどのエビデンスを取得してきました。このMCTをもっと手軽に、身近にお使い頂けるよう、特定保健用食品の健康オイルとしてご愛顧いただいているロングセラー商品のクッキングオイル「ヘルシーリセッタ」を、「日清MCTリセッタ」に刷新するとともに、機能性表示食品のマヨネーズタイプ調味料を新発売しました。
食用油・調味料で使用されるプラスチック容器についてはリサイクルの仕組みが整っておらず、多くはサーマルリサイクル※や焼却処分されているのが現状です。当社は食用油に使用したプラスチック容器のリサイクルの仕組み構築に向け、神奈川県川崎市と協働で、市内の家庭から排出される食用油・調味料の使用済プラスチックの実証実験を行い、リサイクル促進に向けた実態把握や課題抽出を行いました。今後、ここで得られたデータを活用し、更なる検討を進めていきます。
※プラスチックを焼却して発生した熱を、発電や熱源などのエネルギー源として利用する方法