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研究開発を支える機能・体制
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研究開発機能
当社グループは、長年の植物油脂研究で培った知見をベースとした技術開発力と商品開発力により、「健康」「おいしさ」「利便性」「環境負荷低減」等、お客さまの多様なニーズや社会課題にお応えしています。油脂の栄養評価技術、おいしさ評価技術(分析・評価技術、官能評価技術)、油脂の製造および加工に関わる技術力などを強みとし、社内外での連携や共創を強化することで、「ビジョン2030」の各重点領域における共有価値の創造に向けた研究開発を行っています。
新たに開設した研究開発拠点「インキュベーションスクエア」を中核に、油脂とその周辺領域の技術をさらに磨き、当社グループの研究開発力を強化していきます。また、国内外を問わずさまざまなお客さまとの共創の場として活用し、技術や情報の交流を通して、多様な視点とアイディアにより最先端のソリューションを提供していきます。
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研究開発機能として、中長期の視点から未来の価値創造を目指す「基礎研究所」、所有技術を深化・応用し、価値を創造する「応用研究所」があります。また、ニーズとシーズを結びつけ、商品を通して“もっとお客さまの近くへ”を実現する「ホームユース・ウェルネス食品開発センター」、食品メーカーや流通の皆さまのニーズに基づきアプリケーション開発や技術提案を行う「ユーザーサポートセンター」があります。ファインケミカル事業には、主に化粧品原料の開発やアプリケーション開発・テクニカルサポートを担う開発部門があります。また、研究開発で獲得した技術を知的財産として戦略的に活用を図る「知的財産部」があります。
グローバルな研究開発体制
日本国内における体制としては横浜磯子事業場にある「インキュベーションスクエア」を中核拠点とし、研究開発を進めています。
国内のグループ企業においては、大東カカオ、セッツなども研究開発機能を有し、それぞれのグループ会社が強みを活かした取り組みを進めるとともに、グループの総合力を活かして新たな価値の創造に注力しています。
海外においては、マレーシアやスペインに拠点を置き、グローバルな研究開発体制を構築しています。パーム油の主要産地であるマレーシアには、Nisshin Global Research Centerを設置。グループ企業のIntercontinental Specialty Fatsも研究開発機能を有しています。スペインではファインケミカルの拠点であるIndustrial Quimica Lasemが研究開発を行っています。国内外の各拠点が連携し、価値創造に向けた取り組みを進めています。
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インキュベーションスクエア
研究開発の中核拠点である「インキュベーションスクエア」では、食用油の基礎・応用研究をはじめ、調味料、高齢者・介護対応食品、加工油脂、チョコレート用油脂、ファインケミカル製品の開発など、幅広い研究開発機能を担っています。
さらに、これら研究開発機能に加えて、商品化・事業化に至るまで一貫したプロセスを支援するインキュベーション機能を担っており、共創型のキッチンやサンプル製造から小規模生産まで対応可能なパイロット設備を設け、お客さまと共に、一緒に手を動かしながら開発を行うことで、新たな課題解決・価値創造につなげています。
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インキュベーションスクエアA棟
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インキュベーションスクエアB棟
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事例① お客さまとの共創により確度の高い課題解決を実現
当社は、生活者の行動変容や多様化する食品への健康ニーズ、おいしさ、人手不足、コスト上昇などを背景とした、加工メーカーや量販店、コンビニエンスストア、外食などBtoBの領域のお客さまのニーズやお困りごとに寄り添い、当社商品やアプリケーション開発をはじめとする技術の活用提案を通じた課題解決に取り組んでいます。これまでも、営業部門が窓口となりお客さまのニーズや課題を把握し、それを開発部門に共有して技術的な提案を行ってきましたが、インキュベーションスクエアを活用することで、お客さまと共にものづくりを行いながら課題解決を図ることが可能になりました。新設したテストキッチンには調理設備を拡充し、さまざまな業態の開発担当者と当社の開発担当者とが直接対話し、共に手を動かしながら素材選定や試作を幅広く行うことができます。さらに、官能評価データに加え、分析機器も活用しながら、食感や風味、物性を数値化し客観的に共有することで、効率的で納得性の高い課題解決につなげていきます。
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ガラス製のフライヤーを使い360度から、揚げ具合を確認
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試作品の内部を電子顕微鏡で確認し内部構造と食感との関係性を検証
また、ファインケミカルの化粧品原料の研究開発環境も充実しました。化粧品を調製するのに欠かせないのが“エステル油”です。化粧品には、保湿や感触、発色、ツヤのよさなどさまざまな機能が求められ、それらを実現するために“エステル油”などの油剤を用います。お客さまが求めるさまざまな物性・機能を持つ新しい“エステル油”を開発したり、当社の化粧品原料の機能を活用したソリューションビジネスを展開していきます。新設した恒温恒湿室では、温度・湿度をコントロールし、さまざまな測定機器を用いて肌の状態を正しく客観的に観察・評価することができます。このような環境で、お客さまと共に直接コミュニケーションをとりながら、ニーズにお応えする高品質・高機能な商品をお届けしていきます。
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恒温恒湿室内では一定条件下で皮膚測定ができ精緻な評価が可能に
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お客さまが求めるさまざまな物性・機能を持つエステル油を開発
事例② パイロット機能の拡充により共創のスピードを加速し事業化へ貢献
加工用途の油脂の開発過程では、ラボスケールでの評価後、お客さまの製造ラインでの評価のためのサンプルが必要になります。必要なサンプルを確保するため、ラボスケールでは何度も試作する必要がある一方、実際の生産設備で製造すると他の製造スケジュールへ影響するなどの課題がありました。新施設には、中間のサイズとなるパイロットスケールの設備を導入しました。一斗缶サイズからドラム缶サイズ(数百キロ単位)までの製造が可能で、油脂の精製設備や分別・エステル交換などの油脂加工に関する設備などを実装しています。これにより、お客さまと共創しながらものづくりと評価が行えるようになり、開発スピードの向上を実現することができます。また、無線技術を活用し、製造上の各種データを一元管理する仕組みを導入したことで、生産へのスピーディーな展開も可能としています。さらに、この設備は小規模生産も可能な仕様としており、商品化・事業のスタートアップ支援を推進していきます。
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パイロット設備の一部
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パイロットスケール設備
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研究開発に関する実績
当社がグローバルトップレベルの油脂ソリューション企業となるためには、コアコンピタンスを究め、独創的で高い技術力が不可欠であるとともに、それをスピーディーかつ持続的にお客さまへ提供する力が必要です。そのために、知的資本や人的資本への積極的な投資により、戦略的な知的財産活動や組織力強化等の基盤作りに注力しています。
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